| ■キリマンジャロ登山隊 |
| 空飛ぶモンティ・パイソン 第9話(T−9) |
ナレーション Voice Over :マイケル・ペイリン
ジョージ・ヘッド卿 Sir :ジョン・クリーズ
アーサー Bob :エリック・アイドル
ジミー Jimmy :グレアム・チャップマン
- ナレーション(マイケル)
- それではお話変わりまして、大英帝国第四勲位に叙せられたジョージ・ヘッド卿のオフィスです。
場面:大きな山岳写真や地図が壁に掛けられた書斎。机にはジョージ・ヘッド卿が座っている。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 次の方、どうぞ。
アーサー(エリック)が部屋へ入ってきて、机の前に立つ。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 一人ずつにしてもらえないかね。
- アーサー(エリック)
- 私、一人しかおりませんが…。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- (片目を手で隠して)そのようだな。それでは、そのイスに…。
- アーサー(エリック)
- …座る?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- そう、座る!さあ、イスに座りたまえ。(何もいない、アーサーの右側にむかって)我が登山隊に加わりたいというのは、君だね?
- アーサー(エリック)
- 私ですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- そうだ。
- アーサー(エリック)
- はい、ぜひとも参加させて頂きたいんです。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- それは大いに結構。(アーサーの右側にむかって)君の方は、どうなんだね?
- アーサー(エリック)
- …私、一人しかおりませんが。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- (片目を押さえて、ボブとボブの右側を見比べながら)となると、この書類は必要ないな。
ジョージ・ヘッド卿(ジョン)が書類を破り捨てる。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- それでは、説明しよう。私が、この登山隊の隊長だ。目指すはキリマンジャロの2つの頂上。
- アーサー(エリック)
- キリマンジャロの山頂は1つしかないと思いますが…。
ジョージ・ヘッド卿は、片目を押さえて、背後にある大きなアフリカ大陸の地図をまじまじと見る。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- なるほど、それなら手間も省けるな。おおいに結構。さて、今回の目的は、去年の登山隊の足どりをつきとめることにある。
- アーサー(エリック)
- 去年の登山隊?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- ああ。私の兄が隊長となって、2つの頂上の間に橋を架けに行ったんだ(片目を押さえて、地図を見る)。これは私のアイデアだと思うんだがね。ところで言っておくが、我が隊が必要としているのは、即戦力となる人材だ。…君は何か特別な資格を持っているかね?
- アーサー(エリック)
- そうですね…。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- ふむ、君から訊こう。
- アーサー(エリック)
- …私、一人しかおりませんが。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- (アーサーの右側にむかって)君に訊いているんじゃないよ。(ボブにむかって)さあ、続けたまえ。
- アーサー(エリック)
- 私は、かなり本格的な登山家だと思います。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 登山家?と・ざ・ん・か…?(辞書をめくりながら)…なんだ、そりゃ。どさくさ… mound 、どさまわり mount 、とざん mountain、…とざんか mountaineer 。「登山に熟練した二人の人間」。それなら、結構。入隊を認めよう。おめでとう!君たち二人ともだ(と言いながら、右手でアーサーの右手と握手をし、さらに左手を差し出して、アーサーの左手と握手をする)。それで、ええっと、君の名前は?
- アーサー(エリック)
- アーサー・ウィルソンです。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- (アーサーを指さして)それでは君をアーサー・ウィルソン1、(アーサーの右側を指さして)君の方をアーサー・ウィルソン2と呼ぶことにしよう。これなら、混乱しなくてすむ。
- アーサー(エリック)
- 本当に、あなたが登山隊の隊長なんですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- そうとも。我々が、このアフリカ登山隊を率いる。
- アーサー(エリック)
- あなた方は、どういうルートをとるおつもりなんですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 良い質問だ。(誰もいない、自分の左側にむかって)…私が答えて構わんかね?1月22日に出発し、このルートを進む予定だ(と立ち上がって、壁に掛かった地図をめくる。その地図には「サリー州 Surrey」と書かれている)。A23号を使ってパーレーを通過し、パーブリッジの幹線道路を下る。レザーヘッドには立ち寄らない。それからA231号を通って、ロッティングディーンへ入り、そこから、アフリカを縦断してナイロビへと向かう。さらに、ナイロビから約12マイルほど南へ下り、そこで道を尋ねる。
- アーサー(エリック)
- スワヒリ語を話せる人はいるんですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 現地の人間は、だいたい喋れると思うよ。
- アーサー(エリック)
- われわれの登山隊の中に、スワヒリ語を話す人はいるんですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- メイトロンが、少しだけ話せる。
- アーサー(エリック)
- メイトロンの二人以外には?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- これはうっかり。もう一人の彼女を忘れておった。
- アーサー(エリック)
- 彼らの他に、誰が登山隊に加わるんですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 双子のアーサー・ブラウン、マーティンという二人の植物学者、それからウィリアム・ジョンストン兄弟…
- アーサー(エリック)
- 彼らも2人?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- いや4人だ。一卵性双生児が2組。それから、ケン・スピノザの4つ子のうち、2人。―あとの2人は辞退した。そして、もちろん君たち2人だ。
- アーサー(エリック)
- 登山家はいないんですか?
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 君たちがいるだろう。それから、ジミー・ブレキンソップというガイドが1つがい。分かっているとは思うが、キリマンジャロは非常に難しい山だ。頂上までは、ほとんど坂道しかないし、その後は傾斜のきつい下り坂だ。だが、ジミーたちなら、互いに相談しあって、登頂を成功させるに違いない。(ドアを開けながら)ジミー?
登山の装備を身につけたジミー(グレアム)が、部屋に入ってくる。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 君たちは、初対面だろう。ジミー・ブレンキンソップ、こちらがアーサー・ウィルソンだ。アーサー・ウィルソン、こちらがジミー・ブレンキンソップ。(誰もいない、ジミーとアーサーの隣にむかって)アーサー・ウィルソン2、こちらがジェイムス・ブレンキンソップ1、ジェイムス・ブレンキンソップ1、こちらがアーサー・ウィルソン2だ。それでは、頼んだよ、ジミーズ。
- ジミー(グレアム)
- (アーサーを励ますように)アレのことなら、気にするなよ。(片目を指さし)いくらか慣れた。さて、キリマンジャロへのルートはいたって簡単。まず、前山を越え、さらに進んで、氷河の底地付近にベース・キャンプを設置する…
ジミーはルートの説明をしながら、部屋の中を歩き回り、手当たりしだいに家具によじ登る。机の上に立ち、カップ・ボードにはい上がって花瓶を落とし、さらに本棚によじ登ってなぎ倒す。さんざん、あらしまくった挙げ句、部屋の外に出ていく。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 彼がしんがりを務める。
- アーサー(エリック)
- すみませんが、登山隊への参加は辞退させてください。どのメンバーも信頼できそうにありません。
アーサーは部屋から出ていく。
- ジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- おやおや。で、君はどうするつもりだね。
机の前にはアーサー2(エリック)が座っている。
- アーサー2(エリック)
- 私は参加しますよ。
机にはジョージ・ヘッド卿が2人座っている。
- 2人のジョージ・ヘッド卿(ジョン)
- 我々もだ(と頷きあう)。
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