■ラクダ・スポッティング
空飛ぶモンティ・パイソン 第7話(T−7)

ラクダ・マニア Spotter :エリック・アイドル
インタビュア Interviewer :ジョン・クリーズ

画面:森の中。男性(エリック)がクリップ・ボードを首から下げ、望遠鏡を覗き込みながら、なにやら書き込んでいる。その後ろには、マイクを持ったインタビュアー(ジョン)がいる。

インタビュア(ジョン)
みなさん、こんばんは。今夜は、ラクダ・マニアの実態にきわどく迫ってみたいと思います。
(ラクダ・マニアに向かって)こんにちは。
ラクダ・マニア(エリック)
やあ、ピーター。
インタビュア(ジョン)
今は何をやってらっしゃるところですか?
ラクダ・マニア(エリック)
僕はラクダ・マニアだからね。ここでラクダが何頭見つかるのか観察して、それをラクダノートに書き込むんだ。
インタビュア(ジョン)
なるほど。で、これまでにラクダは何頭ぐらい見つかりましたか?
ラクダ・マニア(エリック)
ん〜、そうだね、ピーター。これまでだと…。
そうだなぁ…、今の時点で僕が発見したのは…、おおよそ…、1頭弱ってとこかな。
インタビュア(ジョン)
1頭弱?
ラクダ・マニア(エリック)
その…、つまりゼロってこと。
インタビュア(ジョン)
そうですか。ここで観察をはじめてどのくらいになりますか?
ラクダ・マニア(エリック)
3年だね。
インタビュア(ジョン)
つまり、3年間、1頭のラクダも見つからなかった、ということですね。
ラクダ・マニア(エリック)
まだ、ほんの3年だけどね…。いや、それじゃあ嘘になるな。
4年…、うーん、正確に言うと5年かな…。
まあ、僕がラクダ・マニアになって、ちょうど7年ってところだ。
その前は、雪男マニアをやってたから。
インタビュア(ジョン)
雪男マニア。それはさぞ、面白いでしょうね。
ラクダ・マニア(エリック)
ああ、すごく面白かったよ。すごくね…、かなり……、退屈なんだよ。
そりゃもう、つまんなくて、つまんなくて。退屈でしょうがない。
ワーテルロー駅の待合室に座りっぱなし。
雪男を一人見たらそれで十分、もう他の雪男なんて見る必要ないくらいだ。
インタビュア(ジョン)
では、あなたは、他の雪男もすべて見たと?
ラクダ・マニア(エリック)
まあ、僕が見たのは1頭だよ。
ちっちゃいやつで……、絵なんだけど……、まあ、噂で耳にしたんだ。
インタビュア(ジョン)
ところで、ラクダを見つけて、どうするんですか?
ラクダ・マニア(エリック)
番号を控えるんだ。
インタビュア(ジョン)
ラクダに番号はついてませんが。
ラクダ・マニア(エリック)
おたくも、どこを見ればいいのか知っておいたほうがいいね。番号は、ピストン・ボックスの上のエンジン脇にある。
インタビュア(ジョン)
は?
ラクダ・マニア(エリック)
あ、もちろん、それがヒトコブラクダかどうかを確かめる必要があるけどね。もしそうなら、それはヒトコブラクダ・ノートに書かなくちゃいけない。
インタビュア(ジョン)
では…、それがヒトコブラクダであるかどうかは、どうやって確かめれば?
ラクダ・マニア(エリック)
ヒトコブラクダには、こぶが1つだけあるんだけど、普通のラクダの場合には、食堂車やビュッフェ、検察係がついてるんだよ。
インタビュア(ジョン)
…ソッピースさん*1、あなた、本当は鉄道マニアなのではありませんか?
ラクダ・マニア(エリック)
え?
インタビュア(ジョン)
鉄道マニアなんでしょ?
ラクダ・マニア(エリック)
つまんないヤツだなぁ、んもぅ。
アニメ
古い白黒の、ブラスバンドの集合写真。中央に座った指揮者が「やってられないよ」と画面から逃げ出す。
ナレーション(テリーJ)
つまんないヤツだなぁ、んもぅ。

画面:寝室。天蓋つきのベットに若い女性が寝ている。そこへ、ドラキュラが登場。女性に近づき、首筋にかぶりつこうとしたとたん、2本の牙がポロポロと抜け落ちる。

女性
つまんないヤツねぇ、んもぅ。
画面:昔の帆船。マストに縛られた男性(エリック)が、船員(テリーJ)に鞭打たれ、背中から血を流している。
船員(テリーJ)
(鞭打ちの回数を数えながら)39…、40。よおし、こいつを降ろしてやれ。
男性(エリック)
つまんないヤツだなぁ、んもぅ。

画面:最初の森の画面。

ラクダ・マニア(エリック)
(カメラに向かって)いいか、今度、俺の台詞使ったらヤツは、ラクダの下敷きにしてやるからな!
インタビュア(ジョン)
(バカにして笑いながら)ラクダが見つかればの話だけどね。プププツ。

そこへ、鎧の騎士が現れ、鶏の肉で、インタビュアを殴る。


*1 ソッピースさん Mr.Sopwith
イギリスの航空機設計家に、Sir Thomas Octave Murdoch Sopwith (1888-1989)という人がいたそうで、彼は1910年に飛行機での英仏海峡横断に成功し、1912年にソッピース The Sopwith Aviation Co. という航空機メーカーを設立しました。この会社が第一次世界大戦期に製造していた複葉戦闘機が、ソッピース・キャメル Sopwith Camel。イギリス空軍の代表機で、1917〜1924年までの間に5490機が製造され、大戦中はドイツ軍などの敵機をもっとも多く撃墜した戦闘機だそうです。→戻る

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