| ■ウィゾー・チョコレート・カンパニー |
| 空飛ぶモンティ・パイソン 第6話(T−6) |
プラリーヌ警部 Inspecter Plaline :ジョン・クリーズ
ミルトン Milton :テリー・ジョーンズ
オウム警視 Superintendent Parrot :グレアム・チャップマン
- 面:社長室
机にはミルトン(テリーJ)が座っている。ドアが開き、プラリーヌ警部(ジョン)とオウム警視(グレアム)が入ってくる。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- (カメラに向かって)こんにちは。
プラリーヌ警部たちは、ミルトンの前に歩み寄っていく。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- ミルトンさんだね?ウィゾー・チョコレート・カンパニー
Whizzo Chocolate Company 社長の。
- ミルトン(テリーJ)
- ええ、そうですが。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- 我々は衛生局から来た者だが、お宅のチョコレート詰め合わせ「高級ウィゾー・チョコレート・アソート
」について、勧告しておきたいことがある。
- ミルトン(テリーJ)
- はあ。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- (「高級ウィゾー・アソート」を手に取りながら)まず、このチェリー・フォンデュ。非常に不味いが、これについては見逃してやる。
- ミルトン(テリーJ)
- そりゃ、どうも。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- 次に、調査品目第4号〈カリカリカエル Crunchy frog 〉
- ミルトン(テリーJ)
- はい。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- チョコの中に入っているのは、本物のカエルなのか?
- ミルトン(テリーJ)
- ええ、そうです。小振りのものですがね。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- どんなカエルだ?
- ミルトン(テリーJ)
- 死んだカエルです。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- 調理は?
- ミルトン(テリーJ)
- してません。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- な、生か?
オウム警視は、だんだんと具合が悪くなっていく。
- ミルトン(テリーJ)
- 当社ではイラクから空輸した、極上の子ガエルのみを使用しております。それを高品質の雪どけ水で洗い、素早く絞める。そして、5層の滑らかなスイスチョコと3層のミルクチョコで包み込み、表面をレース状の糖衣で飾るんです。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- どんなことしたって、カエルはカエルだろうが。
- ミルトン(テリーJ)
- 他には何か?
- プラリーヌ警部(ジョン)
- せめて骨だけは抜いておけ。
- ミルトン(テリーJ)
- しかし、骨をぬきますと、あのカリッとした食感が損なわれてしまいましてねぇ。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- オウム警視は一つ食べてしまったんだぞ。
- オウム警視(グレアム)
- ちょっと失礼する(今にも吐きそうな様子で、部屋を駆け出ていく)。
- ミルトン(テリーJ)
- でも、「カリカリカエル」とハッキリ表示してありますでしょ。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- オウム警視はな、焼きアーモンドだと思ったんだよ。本物のカエルが入ってるなんて考えるヤツがいるか?ふつうは、カエルの形だけ真似た作り物だと思うだろ。
- ミルトン(テリーJ)
- 作り物っ?保存料・添加物なんぞ、我が社では一切使っておりませんぞ!
- プラリーヌ警部(ジョン)
- そういう問題じゃない。いいか、警告する。訴えられたくないんだったら、「カリカリカエル」はやめて、「カリッと骨付き、本物の生カエル死骸チョコ
Crunchy raw unbone real dead frog」という商品名に変えろ。
- ミルトン(テリーJ)
- 売り上げに響くじゃないですか。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- そんなこと知るか。公共社会を守るのが私の務めだ。それから、こっちのチョコにも問題がある。
オウム警視が部屋に戻ってくる。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- (オウム警視に向かって)第5号は、これでしたよね?
オウム警視、ハンカチで口を押さえながら頷く。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- 第5号「羊の膀胱カップチョコ Ram's Bladder Cup」。
オウム警視は再び吐き気を催して、部屋を駆け出ていく。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- これは、どんな菓子なんだ?
- ミルトン(テリーJ)
- コーンウォールの羊から取り出した新鮮な膀胱の中でも、特に厳選されたジューシーな部分を使っております。空にした膀胱を蒸し上げ、ホイップしたゴマで風味付けし、ヒバリの吐瀉物を添えるんです。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- ヒバリのゲロ?
- ミルトン(テリーJ)
- いかにも。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- そんなこと、どこにも書いてないぞ。
- ミルトン(テリーJ)
- 箱の底に書いてありますよ。ほら、グルタミン酸ソーダの後です。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- (箱を見ながら)これじゃ、適切な表示とは言えん。目立つように「ヒバリのゲロ入り」という赤いラベルを貼って警告すべきだ。
- ミルトン(テリーJ)
- それじゃ、売り上げが落ちますよ。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- だったら、どうして、まともな菓子を作ろうとしないんだ。プラリーヌとかライム・クリームあたりが売れ筋だろうが。(オウム警視が部屋に戻ってくる)。他に問題がある菓子は、「ゴキブリたちの集い
Cockroach Cluster 」「炭疸病のさざなみ Anthrax Ripple 」。それから何だ、この「春の驚きSpring Surprise*1」というのは。
- ミルトン(テリーJ)
- ああ、それはオススメ商品でしてね。ブラックチョコレートで包み込んであるんですが、それを口に入れますと、金属製のボルトが飛び出して
spring out、両頬を突くんですよ。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- 何が楽しくて、こんなもの食べるんだ。チョコを食べて、頬に穴を開けたがるヤツなんて、どこにいる?どの商品も、違法表示ばかりじゃないか。署まで同行してもらおう。
- ミルトン(テリーJ)
- (椅子から立ち上がりながら、カメラに向かって)こりゃ、お手上げだね。
- プラリーヌ警部(ジョン)
- カメラに向かって喋るんじゃない。
オウム警視が部屋に戻ってくる。
- オウム警視(グレアム)
- (カメラに向かって)皆さん、お菓子を買うときは注意するようにして下さいね。そうすれば、我々が国家に奉仕する時間を、吐いたり、公衆トイレに閉じこもったりして無駄にすることも無くなるんですから。
- アナウンサー(ジョン)
- BBCは極めて下品な次の発言についてお詫び申し上げます。彼はまだ、調子が戻っていないだけなんです。
- オウム警視(グレアム)
- では、「シティの株仲買人、その退屈な生活」をお送りします。
- *1春の驚き Spring Surprise
- この Spring の意味って、「春」と「バネ」のどちらだと思います?ボルトが飛び出してビックリするんだから「バネ」という意味かとも思ったんですが、「春」の方がお菓子っぽい名前のような気もします(「白い恋人」とか「小枝」みたいな感じ?)。両方を引っかけてあるのかしらん。→戻る
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