■おやちゅみなさぁ〜い!   
空飛ぶモンティ・パイソン 第5話(T−5)

面接官 Interviewer :ジョン・クリーズ
スティッグ Stig :グレアム・チャップマン

面接官(ジョン)が机の前に座り、画面に向かって話しかける。

面接官(ジョン)
幹部候補養成コースの面接って、ほんとに面白いんですよね。(ドアをノックする音)やあ、お入り下さい。

スティッグ(グレアム)が入ってくる。

面接官(ジョン)
こちらにお掛け下さい。
スティッグ(グレアム)
失礼します(椅子に腰掛ける)

面接官はスティッグをじろじろ見ながら、なにやら紙に書き込みをする。

接官(ジョン)
すみませんが、もう一度、ちょっとだけ立ち上がって貰えませんか?(スティッグが立ち上がる)はい、座って。
スティッグ(グレアム)
えっ?
面接官(ジョン)
座って。(スティッグ、座る)ほぉ!(また書き込む)。おはようございます。
スティッグ(グレアム)
おはようございます。
面接官(ジョン)
おはようございます。
スティッグ(グレアム)
おはようございます。
面接官(ジョン)
(書き込む)どうして「おはようございます」なんて言ったんですか?お昼なんて、とっくに過ぎているのに。
スティッグ(グレアム)
その、えっとですね…、あなたが「おはようございます」って仰ったものだから…。ハハハ。
面接官(ジョン)
(頭を横に振りながら)こんにちは。
スティッグ(グレアム)
あ、こんにちは。
面接官(ジョン)
おやおや。(ふたたび書き込む)こんばんは。
スティッグ(グレアム)
…さよなら?
面接官(ジョン)
ハッハッハー、…不可。(手元にあった小さなベルをリンリン鳴らす)…どうしてベルを鳴らすのか質問しないんですか?(またベルを鳴らす)
スティッグ(グレアム)
えーっと、どうして鳴らすんですか?
接官(ジョン)
何故だと思います?(突然、大声でカウントダウンを始める)5、4、3、2、1、0!
スティッグ(グレアム)
えっ、あっ。
面接官(ジョン)
遅い。(ベルを鳴らしながら歌い始める)グッナァ〜イ、リンリンリン〜♪おやちゅみなさ〜い、リンリンリン〜♪
スティッグ(グレアム)
あ、あの、これって幹部候補養成コースの面接ですよね?
面接官(ジョン)
(ベルを鳴らし続けながら)ええ、そうですよ。グッナァ〜イ、リンリンリン〜♪おやちゅみなさ〜い、リンリンリン〜♪
スティッグ(グレアム)
こ、困ったな。どうすりゃいいんだ。
面接官(ジョン)
どうして、そんなこと仰るんです?
スティッグ(グレアム)
よく分かりません。
面接官(ジョン)
よく分からないから、そう言ったわけ?
スティッグ(グレアム)
いや、その…。わ、わ、私には事情がつかめなくって…。
面接官(ジョン)
(再び大声でカウントダウンを始める)5、4、3、2、1、0!ようし!

面接官は子どもあやすように、両手を顔のわきでヒラヒラさせて、奇声をあげる。

スティッグ(グレアム)
スミマセン、私にはもう何が何だか…。
面接官(ジョン)
こんなことをした理由は何だと思いますか?
スティッグ(グレアム)
いえ、分かりません。
面接(ジョン)
知りたくないんですか?
スティッグ(グレアム)
知りたいです。
接官(ジョン)
じゃ、どうして訊かないんです?
スティッグ(グレアム)
いや、その…。
面接(ジョン)
名前は?
スティッグ(グレアム)
えっ?
面接官(ジョン)
名前。あなたのお名前!
スティッグ(グレアム)
ああっ、ディヴィッドです。
面接官(ジョン)
ディヴィッドでいいのね?
スティッグ(グレアム)
そうです。
面接官(ジョン)
(紙に書き込みながら)ディヴィッド・デ・イイノネ。
スティッグ(グレアム)
ちがいます、トーマスです。
面接官(ジョン)
トーマス・デ・イイノネ?
スティッグ(グレアム)
だから、ディヴィッド・トーマスですっ。
面接官(ジョン)
(スティッグをまじまじと見つめて、またベルを鳴らし始める)グッナァ〜イ、リンリンリン〜♪おやちゅみなさ〜い、リンリンリン〜♪
スティッグ(グレアム)
おいおい、まただよ。それが始まったら、私はどうすればいいんです?
面接官(ジョン)
何かやってみたら?グッナァ〜イ、リンリンリン〜♪おやちゅみなさ〜い、リンリンリン〜♪

スティッグは顔の脇で手をヒラヒラさせて、奇声をあげる。

面接官(ジョン)
いいね!
スティッグ(グレアム)
いい?
面接官(ジョン)
すばらしいね。もう一度やってくれないか?(スティッグ、もう一度やる)最高だ、天才だよ。
面接官がドアの方に歩いていく。
接官(ジョン)
(ドアに向かって)ちょっと来てくれないか。

4人の男女が入ってきて、机の脇に並ぶ。

接官(ジョン)
もう一度やってくれたまえ。(ベルを鳴らして)グッナァ〜イ、リンリンリン〜♪おやちゅみなさ〜い、リンリンリン〜♪

スティッグ、先程と同じ事をやる。すると入室してきた4人が、アイス・スケートの審査員のように数字の書かれた札をあげる。

スティッグ(グレアム)
何です?何のつもりなんですか?
面接官(ジョン)
高得点だよ、きみ。
スティッグ(グレアム)
そんなこと、どうだっていいっ。僕は何をやっているのいるのかが知りたいんだ!そうやって、人に恥を掻かせるつもりなんだろ。すぐさま警察に行って、あんたたちがやっていることを訴えてやるぞ。二度とこんなこと出来ないようにしてやる。いいか、どうなんだ?

4人の審査員がふたたび、札を上げる。前回以上の高得点。

面接官(ジョン)
すばらしい点数だな、こりゃ。
スティッグ(グレアム)
え、そうなの…。じゃ、合格?
面接官(ジョン)
それなんだけどね、合格じゃないんだな。採用者は何週間も前に決まっているんだよね。

面接官と4人の審査員が爆笑するなか、呆然とするスティッグ。



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