■フルーツから身を守る方法   
空飛ぶモンティ・パイソン 第4話(T−4)

曹長 R.S.M. :ジョン・クリーズ
生徒1 First Man (ハリソン Harrison):グレアム・チャップマン
生徒2 Second Man :マイケル・ペイリン
生徒3 Third Man (トンプソン Thompson ) :テリー・ジョーンズ
生徒4 Fourth Man :エリック・アイドル

場面:スポーツ・ジム。やる気のなさそうな4人の男性と、曹長が立っている。

長(ジョン)
こんばんは、諸君。
生徒全員
こんばんは。
曹長(ジョン)
他の者はどうした?
生徒全員
知りません。
生徒1(グレアム)
風邪 flu でも引いたんじゃないですか?
曹長(ジョン)
風邪…フルー flu?…フルーツを食べ過ぎるから、そんなことになるんだ。(首をグルンとまわして)よし、護身術を始めるぞ。今晩は、先週と同じく、フルーツで武装した敵に襲われた際の護身法を教える。
生徒全員
(ウンザリした調子で)エエーッ。
徒2(マイケル)
今週は、もうフルーツをやらないって、言ってたじゃないですか。
長(ジョン)
なんだと?
生徒3(テリーJ)
フルーツは9週間もやりましたよ。
長(ジョン)
どこが悪い?それでフルーツ護身術が完璧だとでも思ってるのか?
徒2(マイケル)
でも、気分を変えて、他のことやりません?
生徒4(エリック)
槍を持った敵に襲われた時とか?
曹長(ジョン)
槍だとぉ!ほう、ほう、ほう。槍を持った敵に襲われたときの護身術を知りたいというんだな?もっと高度なスゴイことがやりたい?フルーツじゃ、物足りないってか?上等、上等。いいか、お前ら。今夜、家に帰る途中、ローガンベリーを一房もった殺人鬼に襲われても、俺に泣きついてくるなよ。ようし、パッション・フルーツをやるぞっ。パッション・フルーツをもった敵に襲撃された際には、こうやって…。
生徒全員
パッション・フルーツはもう、やりました。
長(ジョン)
なに?
生徒1(グレアム)
パッション・フルーツはもう、教わりました。
生徒2(マイケル)
オレンジも、リンゴも、グレープフルーツも。
生徒3(テリーJ)
丸ごとの時も、一切れの時も。
生徒2(マイケル)
ザクロも、スモモも。
生徒1(グレアム)
グレープも、パッション・フルーツも。
生徒2(マイケル)
レモン。
徒3(テリーJ)
プラム。
徒1(グレアム)
シロップ漬けのマンゴーも。
長(ジョン)
チェリーは?
生徒全員
やりました。
曹長(ジョン)
レッド・チェリーも、ブラック・チェリーも?
生徒全員
やりました。
曹長(ジョン)
じゃぁ、バナナは?
生徒全員
ああ。
曹長(ジョン)
バナナは教えてないよな。
生徒全員
まだです。
長(ジョン)
ようし、バナナだっ!バナナで武装した敵に対する護身術をやるぞ。(生徒1に向かって、バナナを放り投げながら)お前、これを持て。さて、バナナを持った敵に対する護身術は極めてシンプルである。まず始めに、敵の手からバナナを落とす。次に、そのバナナを食べる。こうやって武器を取り上げてしまえば、敵を丸腰にすることが出来るのだ。
生徒2(マイケル)
敵がバナナを一房も持っていたら、どうするんです?
長(ジョン)
うるさい!
生徒4(エリック)
槍で襲われたら?
曹長(ジョン)
黙れっ!(生徒1に向かって)では、アプリコット君。
徒1(グレアム)
ハリソンです。
長(ジョン)
ハリソン君。バナナを持って、かかって来い。さぁ、それで私に襲いかかってみろ。

バナナを片手に持った生徒1(グレアム)は、気乗りのしない様子で曹長の方へ歩いて行く。

長(ジョン)
違うだろっ。もっと、気合いを入れてやりたまえ。(自ら手本を示しながら)こうやって持って、叫ぶんだ。やってみろ。さぁ、かかって来い。さあ、さあ。

生徒1(グレアム)は叫び声をあげながら、曹長に襲いかかっていく。と、曹長は突然ピストルを取り出し、生徒1に向かって発砲。彼は床に倒れて、動かなくなってしまう。

長(ジョン)
(バナナを拾い上げて)そして、バナナを食べる。
生徒全員
(倒れた生徒1を指差しながら)な、なんてことを。こいつ死んじゃったじゃないですか。撃つなんて…。
長(ジョン)
(バナナを頬張りながら)こうやってバナナを食べる。こうして、今は亡きアプリコット君から武器を奪えるわけだ。
生徒2(マイケル)
曹長が撃ったからじゃないすか。撃ったから死んじゃったんですよ。
長(ジョン)
彼がバナナで襲ってきたから、そうしたまでだ。
生徒3(テリーJ)
そうしろって言ったのは、曹長でしょうが。
曹長(ジョン)
いいか、これが私の仕事なんだ。私は君たちに、フルーツから身を守る方法を教えなくちゃいかんのだ。
生徒4(エリック)
槍で襲われたときは?
長(ジョン)
黙れっ!
生徒2(マイケル)
じゃ、バナナで襲われたときに、ピストルを持ってなかったら?
長(ジョン)
逃げろ。
生徒3(テリーJ)
逃げなくても、助けを呼べばいいんじゃないんすか。
曹長(ジョン)
次はパイナップルでやってみろ。
徒3(テリーJ)
パイナップル?
長(ジョン)
なに、どこだっ?
徒3(テリーJ)
どこにもありませんよ。ただ、パイナップルと言っただけです。
曹長(ジョン)
クソッ!戦友はあれでくたばったんだ。
生徒3(テリーJ)
パイナップルで?
長(ジョン)
ど、どこだっ?どこにある?
生徒3(テリーJ)
言っただけですよ。
長(ジョン)
ああ、そうか。よし、バナナの次は、ラズベリーをやるぞ。(ポケットの中からラズベリーを一粒取りだして)おとなしそうな外見に騙されてはいかん。さて、「桃缶」君。
徒3(テリーJ)
トンプソンです。
曹長(ジョン)
トンプソン君、ラズベリーでかかって来るんだ。さぁ、君の好きなように襲ってみろ
生徒3(テリーJ)
イヤです。
曹長(ジョン)
どうして?
徒3(テリーJ)
どうせ撃つんでしょ。
長(ジョン)
そんなことはしない。
生徒3(テリーJ)
ハリソンのこと、撃ったじゃないすか。
曹長(ジョン)
あれは正当防衛だよ。さぁ、撃たないから、かかって来い。
徒4(エリック)
槍で襲われたときの護身術も教えてくれるって、約束してくれません?
長(ジョン)
黙れっ!さぁ、ラズベリーを振りかざせ。お前の思うようにやってみろ。
生徒3(テリーJ)
そのピストルを遠くに投げてくれなきゃ、イヤです。
曹長(ジョン)
ピストルなんか使わん。
徒3(テリーJ)
さっき使ったじゃないすか。
曹長(ジョン)
使っとらん。
徒3(テリーJ)
ハリソン君のこと、撃ったでしょ。
長(ジョン)
ああ、そのピストルか。
徒3(テリーJ)
遠くに放り投げて下さい。
長(ジョン)
分かったよ(と、ピストルを遠くに投げる)。それでは、ピストルを使わずに、ラズベリーから身を守る方法を教える。
生徒3(テリーJ)
やっぱり、撃つつもりだったんだ!
長(ジョン)
そんなことない。
徒3(テリーJ)
いいや、撃とうとしてた。
曹長(ジョン)
違うと言ってるだろうが。さぁ、かかって来るんだ。お前は腰抜けか。ほら、ほら。このウジ虫野郎、襲いかかってみろ。

生徒3がラズベリーを持って、曹長に襲いかかろうとする。曹長が壁のレバーを引くと、16トンの重りが生徒3の上に落ちてくる。

曹長(ジョン)
もし、ラズベリーで武装した敵に襲われた時は、こうしてレバーを引き、敵に16トンの重りを落とせば良いのだ。私はこの方法をマレーで会得した。
生徒2(マイケル)
16トンの重りが無かったら、どうするんです?
長(ジョン)
前もって用意しておけ。それが作戦ってもんだろ。
生徒2(マイケル)
16トンの重りなんて、その辺に落ちてるもんじゃないでしょ。
曹長(ジョン)
いいか、うぬぼれるなよ。16トンの重りは、ラズベリー殺人鬼に対抗する一つの策にすぎん。方法は他にも、ごまんとあるんだよ。
生徒2(マイケル)
例えば?
曹長(ジョン)
ピストルで撃つ。
生徒2(マイケル)
じゃ、ピストルも、16トンの重りも無かったら、どうするんです?
曹長(ジョン)
分かった、分かったよ。お利口さん。そこの2人、ラズベリーで襲ってこい。今度は1パック丸ごと使ってやれ。
生徒2(マイケル)
銃は使わない?
曹長(ジョン)
使わん。
生徒2(マイケル)
16トンの重りも?
曹長(ジョン)
使わないよ。
徒4(エリック)
槍は?
曹長(ジョン)
黙れっ!
生徒2(マイケル)
僕たちのこと、殺さない?
曹長(ジョン)
殺さない。
生徒2(マイケル)
約束ですよ。
長(ジョン)
約束するから、ほら、かかってこい。
生徒2(マイケル)、生徒4(エリック)
分かりましたよ。
曹長(ジョン)
よし、今度は走りかかってくるな。私は、お前たちに背を向けているから、コッソリと忍び寄ってこい。いいな?気付かれないように、私の背後に近づいて来るんだ。ラズベリーを持つんだぞ。さ、やってみろ。

生徒2&4は、ラズベリーのパックを持って、曹長に近づいていく。

曹長(ジョン)
ラズベリーで武装した敵が忍び寄ってきた時には、まずトラを放て!

曹長が壁にあるボタンを押すと、壁が開き、そこからトラが飛び出してくる。画面の外からは生徒2&4の悲鳴が聞こえてくる。

曹長(ジョン)
敵から武器を奪う際にトラを用いる最大の利点は、敵のみならず、ラズベリーをも食べてしまえる点である。だが、トラはモモを嫌う。モモで武装した敵に対しては、ワニを使え。(曹長は、辺りを見回して)お前らが隠れていることは分かっている。床下に、スモモで武装したヤツとプラムを持ったヤツがいるだろっ。それから、ウォール・バーの後ろでマルメロを構えているお前のことも、お見通しだぞ。いつでも、かかって来い。200トンのダイナマイトが仕掛けてあるぞ。お前らがどんな手を使ったって、我々は全員あの世行きだ。警告したぞっ!よし、こうしてやる。

画面が大爆発する。



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