■エドワード・ロス卿 インタビュー   
空飛ぶモンティ・パイソン 第1話(T−1)

インタビュア Second Intervierwer …ジョン・クリーズ
エドワード卿 Ross …グレアム・チャップマン

画面:対談番組風のスタジオ。インタビュア(ジョン)とエドワード卿(グレアム)が椅子に座っている。
インタビュア(ジョン)
こんばんは。現代において、いえ史上、多くの作品を生み出しておられる映画プロデューサー、エドワード・ロス卿が、国立劇場で開幕される映画祭のため、5年ぶりに、帰国されました。今夜は、幸運にも、我々のスタジオにお越し頂いております。
エドワード卿(グレアム)
こんばんは。
インタビュア(ジョン)
エドワード……。あの、エドワードとお呼びしても構いませんか?
エドワード卿(グレアム)
いや、構わんよ。
インタビュア(ジョン)
気にする人々がいるもので……どうしてか分かりませんが……。まあ、そういう人々が少々、神経質になるものですから、こちらとしましても、そういう場合に備えなくてはいけませんので…。
エドワード卿(グレアム)
いや、いや。結構。
インタビュア(ジョン)
では、エドワードでよろしいと。さすが、さすがです。つまらないことをお尋ねして申し訳ありません。ただ……。
エドワード卿(グレアム)
構わん。エドワードで構わんよ。
インタビュア(ジョン)
ありがとうございます。そう言って頂けると、こちらとしても助かります。実に身に余る光栄と申しますか…、その…。
エドワード卿(グレアム)
なるほど。
インタビュア(ジョン)
リラックスした雰囲気の中で、コミュニケーションを図るというのもなかなか難しいものでしてね。
エドワード卿(グレアム)
確かに。
インタビュア(ジョン)
くだらないことですが、これがまた問題で。まあ、言わないよりはましと申しますか…。
えー、テッド。あなたが映画を撮り始めたとき………、テッドとお呼びしても差し支えありませんか?
エドワード卿(グレアム)
いやいや、みんな、そう呼ぶよ。
インタビュア(ジョン)
ええ、短くていいですよね。
エドワード卿(グレアム)
そうだな。
インタビュア(ジョン)
堅苦しくないですし。
エドワード卿(グレアム)
ああ、エドワード、テッド、なんでも構わん。
インタビュア(ジョン)
すばらしい、実にすばらしい。ついでと申しては何ですが、私のことは、トムと呼んでください。私だって、わずらわされるのは御免ですからね。トーマスなんて、バカバカしい。ハ、ハ、ハ。えーっと、エディちゃんが映画を撮り始めたとき…
エドワード卿(グレアム)
すまんが、エディちゃんと呼ぶのはやめてくれ。
インタビュア(ジョン)
はい?
エドワード卿(グレアム)
エディちゃんはやめてくれ。
インタビュア(ジョン)
エディちゃんなんて、呼びましたか?
エドワード卿(グレアム)
呼んだとも。さ、先を続けてくれ。
インタビュア(ジョン)
エディちゃんなんて、お呼びした覚えはありませんが…。
エドワード卿(グレアム)
君がエディちゃんと言ったんだよ。
インタビュア(ジョン)
(画面の外に向かって)エディちゃんなんて言った?
画面の外の声
言った。
言わない。
言ったとも。
インタビュア(ジョン)
私、本当にエディちゃんなんて呼んでませんよ、僕のスイートちゃん。
エドワード卿(グレアム)
スイートちゃんはやめろ!
インタビュア(ジョン)
シュガーボンボンちゃんは?
エドワード卿(グレアム)
ダメだ。
インタビュア(ジョン)
小猫ちゃん?
エドワード卿(グレアム)
いかん。
インタビュア(ジョン)
ズロースちゃん?
エドワード卿(グレアム)
ダメだといっておるだろうがっ。早く番組を進めたまえ。
インタビュア(ジョン)
フランク。
エドワード卿(グレアム)
はぁ?
インタビュア(ジョン)
フランクとお呼びするのは?
エドワード卿(グレアム)
なぜにフランク?
インタビュア(ジョン)
いい名前ですよ。ロビン・デイが飼っているハリネズミがフランクって言いましてね。
エドワード卿(グレアム)
番組を続けろ。
インタビュア(ジョン)
フラニー、リトル・フラニー、フラニーっち。
エドワード卿(グレアム)
(椅子から立ち上がって、スタジオを立ち去ろうとしながら)もう、やめだ。私は降りる。
インタビュア(ジョン)
貴殿の最新作についてお話頂けませんか、エドワード卿?
エドワード卿(グレアム)
(画面の外から)なんだって?
インタビュア(ジョン)
お差し支えなければ、あなたの最新作についてお伺い出来ませんか、エドワード卿?
エドワード卿(グレアム)
「小猫ちゃん」なんてバカなことは言わないな?
インタビュア(ジョン)
お約束します。(エドワード卿の座っていた椅子を軽く叩きながら)さあ、お願いします、エドワード卿。
エドワード卿(グレアム)
私の最新作についてだな?
インタビュア(ジョン)
そうです、エドワード卿。
エドワード卿(グレアム)
(椅子に掛け直して)このアイデアはだね、おかしな話なんだが、1919年、私が最初に業界に入ったころから温めておってな。もちろん、そのころの私ときたら、ほんの下っ端で……。
インタビュア(ジョン)
チッ、黙れよ。

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